不動産の売却は一生のうちに何回も経験するものではないかと思います。
ほとんどの方が初めての経験なのではないでしょうか?
また、不動産は保有している財産の中で多くを占めるということもあり、売却には慎重になったり不安になったりすることは当然だと思います。
そんな、あなたにはまず最初に是非こちらを読んで欲しいと思います。
不動産の売り方の全体像
まずは全体像を把握したほうが、よりスムーズに理解が進むと思います。
不動産の売り方の手順と流れは次の9つにわけることができます。
不動産の売り方は以上の9ステップです。
通常、売却を考えてから手元に現金がくる「お引渡し」までおおよそ3ヵ月ほどかかります。
初めての方は何にが分からず、不安に思うと思いますが、丁寧に解説いたします。
それでは内容に入っていきましょう!
いつ売りたいか考える
不動産は売主さんがいつ売りたいかによって金額が大きく変わるという性質があります。
早く売りたければ安くなり、高く売りたければゆっくりと時間を設けることが重要となります。
不動産には定価というものがありません。
つまり、不動産の価格は変動するものなのです。
では、どのような時に不動産の価格は決定していくのか?
それは2つあります。
・売り手の事情
です。
世の中の情勢(景気)はイメージしやすいかもしれません。
「バブルの時には2倍3倍土地の金額がした!」と話を聞いたことは無いでしょうか?
不動産の価格は需要と供給により、成り立っています。
土地を欲しいお客さんが多い時期には金額が上がります。
それとは別に「売り手の事情」という要素があります。
例えば、すぐに現金が欲しいなど、売却までの時間がとても少ない場合を考えます。
この場合、すぐに購入できるお客さんしか対象にならないため、どうしても売却金額が安くなる傾向があります。
ローンを組むお客さんは間に合わないことがあるためです。
なので多くの場合、現金を潤沢に用意することができる不動産業者が買い手となります。
少しでも高く売りたい場合は、前もって準備をしてゆっくりと売却を考えたほうが良いと言えます。
このように、不動産の売却の期間と金額は切っても切り離せない関係にあります。
不動産の売却を考える場合、まずいつまでに売りたいのか、いつ手元に現金が欲しいかを考えてプランを立てることが望ましいです。
そうすれば必要以上に安く売却することが無くなります。
情報収集する
不動産会社の種類
どの会社に不動産売却を依頼するかの情報集をします。
この情報収集次第で、売却できる金額が大きく変わってきます。
また、金額もそうですが売却にあたっての「ストレス」も大きく変わってきます。
ひと口に不動産会社といっても様々な種類があります。
・賃貸管理会社
・新築会社
・中古再販会社
・売買仲介会社
実は査定を依頼する会社で金額が大きく変わります。
では、この中で一番高い金額で売却できる可能性が高いのはどの会社でしょうか?
答えは「売買仲介会社」です。
理由は普段売買にたずさわっていて「仲介」という形式で高く購入するお客さんを探すからです。
不動産をより高く売却したい場合は「売買仲介会社」を選ぶことをおすすめします。
「売買仲介会社」を選ぶにあたって気を付けるべき点があります。
次の項目を頭の片隅に入れて情報収集すると、思わぬ落とし穴に入らずに済みます。
大手が良い選択か?
一概に大手に頼むのが一番とは限りません。
多くのお客さんに「不動産の大手は?」と質問をすると、財閥系・電鉄系の不動産会社を上げます。
例えば「三〇のリ〇ウス」「住〇不動産販売」「東〇リバ〇ル」などの会社です。
彼らは年間何件も契約をし、多くの不動産の売買仲介をしています。
また、個々の営業担当には中小企業では考えられない「ノルマ」をかせられています。
お客さんのニーズに100%応える気持ちのいい取引ばかりだと良いのですが、この「ノルマ」がきついとそうもいかないのも事実です。
売却のお客さんの情報を独占して手数料率が高い方法に固執したり、案件が多すぎることによって新しい案件にばかり力を入れたりすることもあるのです。
販売に力を入れている地場会社が良い選択か?
では、地場大手が良いかというと、こちらも一概には言えません。
地場の販売会社は大手に負けず劣らず、広告費をかけています。
広告にかける費用が多いので、必然的に「ノルマ」も厳しくなります。
また、地場の仲介会社は営業の入れ替わりが激しいです。
基本的に入社後3ヵ月で売上が上がらなければ退職に追い込まれることも多いです。
いくら過去に売上をあげられていたとしても、3ヶ月間売上が上がらなかったら同様に退職に追いやられることも多いです。
せっかく、この人に任せようと思った営業の人がその会社を辞めた、、、
ということもよくあるのです。
不動産会社から見た売主さん
ここまででは不動産会社の性質についてお話をしました。
では、その不動産会社からみた売主さんは、どのように見えるかを考えてみましょう。
不動産仲介会社は仲介手数料の売上によって成り立っています。
仲介手数料は契約が成立した時とお引渡しの時に売主から不動産仲介会社に支払われるお金です。
成約価格 × 3% + 6万円 × 消費税
3000万円ほどの成約価格の場合は、おおよそ100万円ほどになります。
この「仲介手数料」が不動産仲介会社の収入源となります。
また、業界的に売主さんから依頼を受けることに注力することが多いです。
この内容はまた別の記事でお伝えします。
つまり、売却の依頼は是が非でも営業が取得したい案件、となります。
なので、こぞって様々な不動産仲介会社はホームページやチラシなど広告に多額の予算をかけてアピールをするのです。
そして、商談になれば必死に自社を選んでもらえるようにセールストークをします。
売主さんもその内容を見極めて判断して依頼をしていかないと、本来よりはるかに安い金額で不動産を売却することになったり、想定以上に時間がかかりすぎたりしてしまいます。
気を付けながら情報収集をしていきましょう。
査定を依頼する
3社以上に声をかける
最初に電話して査定を依頼する時には緊張するかと思います。
不動産会社にはダーティなイメージや、怖いイメージがあるお客さんも多いので、当然なことかもしれません。
ここまで情報収集してきた内容で、依頼をするとしたら個々の不動産会社かな?
と、絞られてきているかと思います。
ただ、絞り切ってしまってはダメです。
査定の依頼をする時には最低3社以上に声をかけてください。
その3社もバリエーションに富んだ会社に声をかけてください。
声をかけるべき会社は以下のバリエーションです。
・財閥系
・電鉄系大手
・地場大手
・地場の業者
それぞれの種類から選んで最低3社に査定依頼をしてください。
もし、1社だけにして「お宅の会社だけに頼んでいる」ということを言おうものなら、、、
良心のある会社だと全うな仕事をしますが、よこしまな考えを持つ会社・営業だった場合は不当に安い金額で不動産を手放すことになりかねません。
面倒くさいかもしれませんが、必ず複数社に対して査定依頼をしましょう。
高額査定が良いとは限らない
査定を受けると、「査定書」という不動産の金額の根拠を記す書類で説明を受けるかと思います。
ここでおちいりやすいワナがあります。
複数社が査定書の提示をしてきたとき、一番高額な金額を提示してきた会社に依頼をしたくなるものです。
いくら、その提示してきた営業が
「この金額で売り切る自信があります!」
といったところで、買うことを決めるのは「購入者」です。
自社を選んでもらいたくて甘い言葉をかけてくることもあるので、要注意です。
必ず、その金額になる根拠をしっかりと理解するまで聞く、ということをしましょう。
強引に早めようとする会社には注意が必要
強引に売却を早めようとする会社にも注意が必要です。
不動産業者の営業はあの手この手で早めようとします。
- この日までだったらこの金額で買うお客さんがいます。
- 月末までに依頼してください。
- 今だったらこの金額で売れます
- 今売ってもらえないと僕の成績が危ないんですよ
などなど、、、
中には「本当に?」と思うようなセールストークもありますが、実際にあった言葉です。
いずれにしても、自身で納得のいく答えが出ない中で売却を依頼することはおすすめしません。
媒介契約を結ぶ
媒介契約の種類
売却を正式に依頼するときに、不動産会社と「媒介契約書」を結びます。
媒介契約書は3種類あって、それぞれルールが異なります。
それぞれの媒介契約書の種類を理解しましょう。
媒介契約書の簡単な説明は以下の通りです。
仲介会社1社とのみ媒介契約を結ぶことができます。
その1社を必ず通して売買契約をしなければなりません。
・専任媒介契約
仲介会社1社とのみ媒介契約を結びますが、自身で見つけた買主さんとは直接売買契約を結べます。
・一般媒介契約
複数社と媒介契約を結ぶことができます。
一般的に不動産売買仲介会社は売却を独占できる「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」を結ぼうと努力します。
それぞれ、メリットとデメリットがあるので、注意して選びましょう。
依頼した不動産会社ができることを依頼する前にしっかりと聞きましょう。
一般的な依頼を受けた不動産会社ができることは以下の通りです。
・レインズの登録
・広告活動
・販売状況の報告
・重要事項説明書作成
・契約書作成
・契約の仲介
・お引渡しのサポート
以上のように不動産を売却するときに様々な関わりがあります。
それぞれの不動産会社で様々なセールスポイントがあると思いますので、比較していきながら聞いていきましょう。
もし1社選び媒介契約を結んだとしたら、その営業の担当者とは長い時間コミュニケーションをとり、関わっていくことになります。
慎重に選んでいきましょう。
最終的には人で決める
「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」だと、最終的に1社と媒介契約を結ぶことになります。
候補の不動産会社のセールスポイントを聞き、比較してそこまで大差がなければ、最終的には人で決めると良いかと思います。
人間的に合わない営業と長い時間コミュニケーションをとることはつらいと思います。
「この営業だったらコミュニケーションを取りやすい。」そう思う営業に任せてみるのとスムーズに売却できるようになることが多いです。
買いたいお客さんを探す
媒介契約を結んだとすると、あなたは「できるだけ高く」「できるだけ早く」売却をしたい。と思うはずです。
気をつけるポイントは2つです。
・内覧のお客さんに対して
この2点を意識して媒介契約書を結んだ不動産会社と連携を取りながら買いたいお客さんを探していきましょう。
集客のために
まずお客さんに知ってもらわないと次のステップである「内覧」に進みません。
多くの会社が「ポータルサイト」や「チラシ」でお客さんを集客しています。
きれいな写真がたっぷりな物件と、写真が全くない物件ではどちらに問い合わせをするでしょうか?
答えは明白です。
家の中を片付けて「写真映えする」ようにしましょう。
内覧のお客さんに対して
不動産会社は新しく集客してきたお客さんや、既存のお客さんに対してあなたの不動産を紹介して案内をします。
売買仲介の特性上、ほとんどの場合この案内をしなければ契約に至りません。
中古戸建やマンションの場合は売却までに、この「内覧」が必須となります。
内覧時に気を付けることは以下の通りです。
・部屋を広く見せる。
・匂いがこもっていないか気を付ける。(ペットを飼っている場合は特に注意)
・庭・ベランダを片付ける。
・各部屋の電気をつける。
・案内は不動産会社に任せる
せっかく内覧に繋がったお客さんに良い印象を持ってもらえるようにしましょう。
案内時には、いろいろと説明したい気持ちを抑えて不動産会社に任せましょう。
不動産会社の営業のほうでトークのプランをたてている場合があるので、あまり積極的に説明をしないほうが良いです。
不要なところでよくしゃべる売主さんの物件は売れ残る傾向がありましたので、注意が必要です。
契約を結ぶ
買いたいお客さんが現れましたら契約となります。
通常、内覧したお客さんが契約に至るまでは1週間以内の場合が多いです。
契約は買主さんとの売買の約束となりますので、非常に重要です。
では、契約の流れに入ります。
・買主さんからのお申込み(買付)
買主さんからの購入の意思表示です。
仲介会社を通じて、どのような買主さんなのか、価格交渉や引き渡しの条件などを受け取ります。
・条件調整
契約日や価格、引き渡しの条件などの調整をします。
~契約~
・重要事項の説明(仲介業者から買主さんへ)
仲介業者から買主さんへあなたの不動産についての説明をします。
権利関係や、建築基準法などの詳細の説明です。
売主さんは説明を受ける必要がありません。
・契約書読み合わせ
契約書の読み合わせをします。
約款で決まっている内容や特約(契約で決められていない約束)などです。
・物件状況確認
シロアリの害や雨漏り、周辺環境などの情報をあなたから買主さんへ引き継ぎます。
ここで虚偽の情報を伝えてしまうとトラブルになる場合があります。
正確な情報を記載しましょう。
・付帯設備確認
キッチンなどの不動産内の設備いついての現状を買主さんへ引き継ぎます。
故障状況などです。
また、エアコンやカーテンなどの付帯物を置いておくかどうかも記載します。
・契約書押印
契約内容などの確認をしたのちに記名押印をします。
この契約書は法的根拠となりますので、約束内容を確認したのちに記名押印しましょう。
・手付金の受領
契約したのちに買主さんから手付金を受領します。
受領したのちに手付金の領収書を発行しましょう。
・諸費用のお支払い
契約時に仲介手数料を仲介会社に支払う場合もあります。
領収書を受領します。
契約を終えるとひと段落です。
この契約からお引渡しまではおおよそ1ヵ月~1ヶ月半ほどとなります。
お引渡しの準備
買主さんの住宅ローンの承認後
契約が終わりましたら、すみやかにお引渡しの準備に入りたいところですが、ひとつ注意点があります。
それは買主さんの住宅ローンです。
買主さんが住宅ローンを利用して購入する場合は注意してください。
といいますのも、通常売買契約には下記の「住宅ローン特約」が約束事の中に入っているためです。
なので、買主さんが住宅ローンの承認を得られてからお引渡しの準備にうつりましょう。
具体的な準備内容
お引渡しに向けて準備をしましょう。
中には時間がかかるものや、段取りを踏まないといけないものもあるので、前もって準備をすることが必要です。
・住宅ローンの抹消準備
住宅ローンを借入している場合は、借りている銀行に売却する旨を伝えます。
銀行に出向き、書類に記入する必要があるので、早めに行動しましょう。
・権利書の確認
権利書(登記識別情報)の所在を確認しておきましょう。
なければ引き渡しができない、というわけではありませんが、費用をかけて代用の書類を準備する必要があります。
・お引越し・荷物の撤去
お引渡しの時にあなたの不動産はからの状態にしなければなりません。
付帯設備確認で置いていくと約束したもの以外は全て撤去するものとなります。
特に押し入れの中、物置の中などをチェックして置き忘れが無いようにしましょう。
・公共料金・税金の支払い
その月の公共料金や、その年の固定資産税などの税金を全て支払いましょう。
お引渡しの時に日割り清算分が買主さんより戻ってきます。
お引渡し
お引渡しは不動産用語で「決済」といわれることもあります。
このお引渡しが終わると取引が終了し、あなたの不動産の所有権が買主さんへ、売買の残代金があなたの手元にきます。
お引渡しは人生の中で中々ないことかと思いますので、イメージしづらいのではないのでしょうか。
取引が行われるのは多くの場合で「銀行内」となります。
大きなお金が動くため、出入金がしやすいためです。
所要時間はおおよそ1時間~1時間半ほどとなります。
ここではお引渡し当日の流れをお伝えします。
・登記申請の依頼
司法書士の先生にあなたの不動産の所有権の抹消の依頼をします。
また、住宅ローンが残っている場合、ローンを借入している銀行にも抹消の依頼をします。
・残代金の受領
依頼した登記申請の準備が整うと、買主さんの住宅ローンの実行がされ、残代金の受領となります。
住宅ローンが残っているとそこから住宅ローンの残債が相殺されます。
・清算金の受領
公共料金の日割り生産分や、固定資産税等の税金の日割り清算、マンションの場合は管理・修繕積立金の日割り清算など、あらかじめ支払いをしていた費用の清算金を受領します。
・領収書の発行
残代金や清算金の領収書を買主さんへ発行します。・関係書類の引き渡し
家の中の設備に関する説明書や地域での取り決め書など、その不動産に付帯するものの書類を引き渡します。
・鍵の引き渡し
あなたの不動産に関係する鍵を全て買主さんへ引き渡します。
・諸費用のお支払い
依頼をした不動産会社への仲介手数料や、司法書士の先生へのお支払いなど、各方面へ諸費用を支払います。
お引渡しが終わると、あなたの不動産の所有権は買主さんのものへとなります。
残すところは次の「税金のお支払い」のみとなります。
税金のお支払い
不動産を売却した時には税金がかかる場合があります。
まるまる売却した金額に対してかかるのではなく、売却して利益がでた分に対して税金がかかります。
譲渡取得
譲渡取得とは利益のことで、あなたの不動産を売却したときに得た金額から、購入した時の金額、その不動産を購入した時の費用や、売却した時の費用を差し引いた金額のことです。
計算式にすると以下の通りとなります。
損をしていると税金を支払う必要はありません。
しかし、利益が出た時には税金を支払わなければなりません。
気を付けるべきポイントが4つあります。
・建物は築年数に応じた減価償却費相当額を差し引いて計算する。
・所有期間が5年以下)か、5年超かで税率が変わる。
・マイホームの場合、特例が適用される場合がある。
あなたの不動産がどのようなものなのかにより変わりますが、想定以上に税金を支払うことになる場合もありますので、注意が必要です。
あらかじめどれくらいの税金がかかるかを想定しておきましょう。
まとめ
長くなりましたが、いかがでしょうか?
最後にまとめとポイントだけおさらいします。
必要以上に安く売ってしまうことにならないため、ゆとりを持って計画を立てる。
②情報収集する
売買仲介会社にターゲットを絞り「大手」「地場大手」「地場業者」を調べる。
③査定を依頼する
最低3社以上に声をかける。高額査定が良いとは限らない。
④媒介契約を結ぶ
媒介契約の種類を理解し、最終的には人で媒介契約先を決める。
⑤買いたいお客さんを探す
写真映えする室内・室外にする。内覧時に備える。
⑥契約を結ぶ
契約の流れを理解する。
⑦お引渡しの準備
買主さんの住宅ローン承認後に準備を進める。
⑧お引き渡し
お引渡しの流れを理解する。
⑨税金のお支払い
あらかじめどれくらい税金がかかるかを想定する。
それではあなたの不動産売却が上手くいくことを願っています。
最後までお読みいただき、有難う御座います。